湘南モノレール富士見町駅改修
神奈川県の大船と江ノ島を結ぶ、湘南モノレールの富士見町駅の壁面をバリアフリー化工事に併せて鎌倉・藤沢リングプロジェクト研究会がデザインを行いました。モノレールに乗ることは、山を登ったり谷を跨いだり、鎌倉の山がちな地形を楽しむことでもあります。
富士見町はその名の通り富士山が見える場所です。この駅は道路に跨る高い位置にあり、富士山をはじめとした遠くの山並みや、鎌倉・藤沢の近い山並みを同時に望むことができます。
周辺の山々と、モノレールの駅舎群との位置関係。
駅から遠くの山は、他の駅へ移動しても距離や方角の差はわずかです。一方近くの山は、他の駅へ移動すると距離と方角に大きな差が生じます。
駅から駅へ移動したときに生じる山との位置の変化は、駅からみた山の方角と距離で比較できます。山々と駅との距離・高さから導かれる形状を2次元の垂直面にプロットしました。駅の位置によって、近景と遠景の重なりの変化がパターンの変化として表れます。
外壁に使用する素材はポリカーボネート複層半透明パネル(ルメウォール/タキロン社製)です。棒状の素材を差込みながら見え方を検討した結果、アルミと銅の棒を差込んでパターンをつくることになりました。3つに分かれた中空層を用いることで形状の重なりをつくれます。
駅の真下の道路から見上げると、新しいプラットホームの壁面が見えます。道の景観にも変化をもたらしています。
所在地: 神奈川県鎌倉市台2丁目 / 用途: 駅舎 / 工事種別: 改修 / 構造: 鉄骨造 / 寸法: 地上面+5755㎜, 幅18000㎜, 高さ3070㎜ / 延床面積: 144.87m2 / 最高高さ: 6.96m / 竣工: 2016年 / 建築主: 湘南モノレール株式会社 / 設計: 鎌倉・藤沢リングプロジェクト研究会 / 施工: 熊谷組 / 写真: 田邉雄之, 伊藤立平
富士見町駅の平面図。赤の部分が改修範囲です。
富士見町駅周辺の調査。地域の企業と協力し、地域の力を集めて少しずつ魅力的な拠点を増やしていきたいと考えています。