展望屋根の家
西田 司 (オンデザイン)

サーファーにとっての最上の時間は、海の上にいる時間です。しかし人によっては海にいない時間でも常に波の様子を気にかけているでしょう。そんなサーフィンを愛してやまない人のための建築を考えました。まず建築の最頂部に、海を見渡す事ができる場所を設けました。この「展望屋根」から、晴れの日も、冬の寒い日も、悪天候の日も、海のコンディションを観察する事ができます。
縦に細高く、塔のような形状とすることで、外部環境を大きく取っています。木々に囲われながら「展望屋根」へと続く外部階段の途中には、サーフィン生活を豊かにする様々な居場所を考えていきました。波のない日にのんびりと過ごせるテラスがあったり、サーフィン終わりに気持ち良くビールが飲める場所や、秘密基地のような小屋が壁に張り付いていたりします。また、一階にはサーフィン仲間と集まれる大きなデッキとダイニングキッチンを設けました。
この建築は、海に行くまでの予告編のような位置付けです。家だけで完結せず、海へと向かう道のりや、海の上での時間、そのときに感じる高揚感なども、「展望屋根の家」での暮らしの一部として考えました。